魔法ではない杖

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家庭教師をしている父が
教えているブラジルの子にプレゼントした杖。

 

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紐で閉じられた箱には「オリバンダーの杖」と書いてある。

 

ハリーポッターに出てくる魔法の杖を売っているお店の名前。

 

でも手紙にはポルトガル語

 

「この杖には、魔法の力はありません。
持つ人に力を集めるだけ。
あなたは何かを一生懸命努力すれば、
自分自身に力を蓄え、自分の力で望んでいることを叶えることができます。」
と。

 

先日、一本の木材片を一生懸命カッターで削っていたのはこのためだったんだ。

 

 

どうしてこれを作ったのか聞いたら、
教えている子が
誕生日プレゼントにニンテンドーDSを両親に買ってもらうことができないから
父にDS か、それが無理ならDSを出してくれる魔法の杖が欲しいと言ったそう。

 

それで父は、漠然と何かを欲して何かを得るのではなく、
そしてそこに必要なのはいつも魔法ではなく
自分の力が必要になるという事。


必ずではないけれど、自分に力を蓄える努力を続ければ、いつか何かを得ることができるかもしれない…それを伝えたいから作るんだ、と言っていた。

 

 

…10歳の子に、
どれくらい伝わるかな?
多分僕が10歳の頃だったら、
「意味分かんないよ…」ってなると思う。

 

でも、今これを見て胸がぎゅっとなっている自分がいる。

年月が経つにつれて、幸か不幸かはっきりとは言えないけど、

これが真理のどこかを担っていると感じる瞬間がいくつかあったから。

 

 

 

そういえば

父は初めて会った時からずっとこんな人だった。
誰に対してもいつもまっすぐ向き合っていて
言い表せないくらいとても深い世界で生きている人。


今まで生きてきて、似ている人に出会ったことがないくらい不思議な人。(残念だけど、自分も似ることができなかった。)

とても尊敬する人。

 

 

オリバンダーの杖
魔法ではない杖

 

自分は今なにか努力して
自分に力を蓄えようとしているのかな…?

 

「杖ほしい?よかったらもう一本作るよ。」

 

その杖を握って
ほんのちょっと振ってみる自分を想像する。

 

頑張ろうと思った。

 

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