「光のノスタルジア」「真珠のボタン」という作品があった。
ある時代に拷問と虐殺により存在を消され、未だ身元の分からない人々と、彼らを探し続ける人々。
そして痛みの記憶に寄り添うように広がり続けているアタカマ砂漠とパタゴニアの大自然。
言葉のない次元への眼差しがヒトの姿を浮かび上がらせる、切なる祈りのようなこのドキュメンタリーに触れた時、初めてチリを知りたいと探し始めた。
昨日観終わった「チリの闘い」は上記二作品の40年前、その記憶が作られた時に同じ監督が撮ったもの。撮影時隣でカメラマンをした仲間は投獄と拷問の末、今も行方不明だと知った。
全三部作、263分。
そしてその第三作目「民衆の力」が始まった時、監督が何故これをつくり、
そして78歳を過ぎた今もまだカメラとマイクを手に故郷を辿り、失われたものを探し続けているのか分かった。
こんなにドキュメンタリーで泣いたのは初めてだった…。
彼は心を通い合わせ、そして圧倒され、忘れ難い姿を見せてくれた人々をもう一度浮かび上がらせようとしていた。今この時も。
知っている事は、誰にとっての事実だったのだろうか?「見る側が自分自身を更新させていく」その言葉通りの作品でした。