Bentについて

 

Bent(1997年公開)の映画

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あらすじ

 

1934年、ナチスドイツによる

突撃隊エルンスト・レームの粛清後、

より強化された刑法175条同性愛禁止法

(反自然的なわいせつ行為は、男性である人の間でなされるものであるか、獣との間で人が行うものであるかを問わず、禁錮に処する。これに加えて、公民権の剝奪を言い渡すこともできる。)

により、

 

ベルリンのクラブで働き、共に暮らすマックスとルディは親衛隊に捕らえられ強制収容所へ送られることとなる。

 

マックスはユダヤ人であり、同性愛者であったことから自分により過酷な運命が待つことを予期し

いくつかの取引ののち、同性愛者(ピンクトライアングルのバッジをつける)だという事を隠しユダヤ人(ダビデの星)だという識別バッジだけをつけることになった。

 

そしてルディとの壮絶な別れの後、

強制収容所でピンクトライアングルをつけたホルストと出会う…

 

.

 

この映画を知ったのは、

去年ナチスドイツ関連の本をあれこれ読んでいた時に

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この本の中で、

収容所に連行された人々のうち

最も残虐な扱いを受けていたのがピンクトライアングルの人々だった。

しかし彼らについての詳細はいまだに誰も触れようとせず、まともに調べられていない。(この本が執筆された当時)

 

というような事が書かれていたのがきっかけで

それに衝撃を受けた事。

これまで読んだ収容所に関する本の中には、

完全にその存在を無視しているものすらあったから。

 

(収容所の留置理由:

知的障害者
精神障害
アルコール依存症患者
薬物乱用者
放浪者
ロマ 
レズビアン、売春婦または産児制限をした女性
正規犯罪者
男性同性愛者

強姦犯、幼児性愛者、動物性愛者
エホバの証人及び他の少数の新興宗教の信者
政治犯社会主義者フリーメイソンアナーキスト
ユダヤ
ユダヤ人の政治犯

 ユダヤ人同性愛者
アーリア人)

 

 

それから関連するものを調べてて、

彼らがどのような扱いを受けていたのか

記述があるもので、

翻訳されているのは見つけられただけで3冊。

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中でも「ピンクトライアングルの男たち」は

あまりに酷すぎる仕打ちの

詳細な描写に怒りを通り越して唖然としてしまった。

そしてこの本は、収容所の解放後

20年以上経過して初めて人の手に渡ることができ、著者自身の経験にもかかわらず匿名の体験談という奇妙な形をとっている。

それは、信じ難いけど

刑法175条は1994年まで存在していたから。

 

つまり戦後、解放、なんていう言葉は

当てはまらなかった。

なんてことだろう。

 

 

 

そんな時に、このテーマを映像作品にした

「ベント」を見つけた。

 

もともとは、舞台だったらしい。

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サー・イアン・マッケランとかリチャード・ギアたちが演じて、ものすごく評価が高く

映画化されたそう。

 

舞台はもう観られないから…

 

映画ではクライヴ・オーウェンが主演。

 

 

同性愛、ナチスドイツ、強制収容所、戦争…

本にも書かれていた事実、

 

でもこの映画は

 

これらの…

なにかそういったカテゴリーを全て飛び越えた

 

 

ただ血が滲むようなある愛についての話だと思った

 

 

母と二人で観て、

映画は終わったのに二人とも一言も発することができずに

なんだか打ちひしがれたみたいに

しばらく椅子に座ってた。

それから僕が無言でDVDをしまって

 

12時を回ってて

なにも言えないまま、

空っぽなのに

苦しいぐらいなにかが詰まってしまった胸の

片隅で 寝なくちゃ…って思って

 

おやすみなさい、

 

だけ言って部屋に戻ろうとした時に

 

母が

椅子に座ったまま

「愛って…」

 

って呟いて それ以上言葉が出てこないまま

涙を流してた。

 

 

うん…

多分それについての

これまで感じた事ない感覚を

心に刺していった物語でした。

 

 

 

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