真ん中に写ってる、skipperのギブソンは
25歳だそうです。
僕より少し年上なだけなのに、
実際の写真を見ると
30歳、40歳、50歳にも見えます。
彼はドイツ上空の空戦だけで
200回近く出撃して
終戦のたった8ヶ月前に26歳で亡くなりました
ベテランと呼ばれる飛行士たちは
古参でも多くが20代後半
みんな18歳くらいから志願するから。
だけどずっと歳をとっているんだね、
それで、歳をとる事ができない。
第二次世界大戦ブックスというシリーズがあって、ギブソンもほんの少し取り上げられてた。
このシリーズは
すごく昔に出版されたもので
図書館だと書庫にしまわれているようなくらいの。
でも今じゃあんまり載せられないような写真と、かなりコアなところまで掘り下げて書いてあったりして時々お世話になってた。
小説とかではないから
感傷的ではないし
物凄く淡々と述べているんだけど
今日、ギブソンが乗ってた
ランクについて読んで
気づいたら本に涙が落ちてた
それは避けようのない気持ちでした
ショックで感覚が麻痺して
生理現象としての涙だけ勝手にでたような。
ドイツへの絨毯爆撃
ドレスデンで起きたこと
何万トンの爆弾
1000機出撃 80機撃墜
300機出撃 25機撃墜
出撃 撃墜 出撃 撃墜 出撃 撃墜
僕は全然詳しくないけど
戦争に使われた飛行機の搭乗員数は
知っているのだけでも
複座の無い戦闘機には一人
モスキートには二人
ウィンピー、ミッチェルには六人
ランク、スターリング、ハリファックス、マンチェスター、フォートレスには七人
ランクが一機撃墜されて、
パラシュート脱出する前に
空中で四散すれば
七人が死ぬってこと。
それなのに、
ウィンピーに至っては
機体の外側はただの布張りだった。
だけど他国が恐ろしい消費に
心身ともに疲労して
一旦ドイツ空戦を離れた間も
淡々と彼らは一度に膨大な数
送り出されてその度に落とされ
帰還できたものはまたすぐに飛んだ
頭が悪い感想だけど
パイロット達って
人間ってそんなにいたんだ。って思った。
使い捨て以上の使い捨てみたい
1000機近くがひしめき合ってる空
操縦席からの景色は想像つかない
それで
地上の人がどれほど恐ろしく思ったか
それも想像を超える
撃墜の数字が物凄く当たり前のように
ただ物が壊れた数のように
なんの感情もない淡々とした文字として
出てくるたびに
搭乗員の数を無意識に掛けてた。
呆れるくらいの数
戦争は人命が何よりも軽く消費されることくらい分かってるし
それはパイロット達以外のあらゆる場面でも
等しくそうであることくらい知ってるけど
いざああやって
ほとんど一行と間隔をあけずに
次々に損失を見せられると
これは理解を超えてるなと思う。
第二次世界大戦ブックスのシリーズで
こんなにも虚しくなったのは初めてだな
多分空戦の場合は
誰が死んだ、という表記ではなく
何機落ちた、という書かれ方だから
その背後にある膨大な死が
透けて見えた時の衝撃が大きかった
そして、何百、何千、何万トンという
投下された爆弾の数
その下で死んでいく国民たち
とめどなく考えて
どうにもならない
この本を読んだのは
飛行機が特に好きなわけでも
興味が特別にあるわけでも無いんだけど
気になることがたくさんあったので
ランクの他にもいくつか借りた。
本当は一つ絵をというか、話を描きたくて。
まだ全然途中なんだけど…
どうしても納得できないこと
気持ちの整理がつかないある記録をみたから。
参考にした本
アブロランカスター :鈴木五郎 著