HJARTASTEINN

あれほど広大で美しい自然に囲まれているのに

アイスランドの東にある小さな小さな漁村

80年代、伝統や慣習がとりまくなか

風はそびえ立つフィヨルドにぶつかって

閉じ込められる

時々監獄みたいにだってなるんだ

 

どこを歩いても見知った顔で

何をしてもすぐ知れ渡る

みんな同じ方向を向いている

 

外からの影響が少ないのは

良い面と悪い面があるんだと

 

水の中でしか本当の声を出せないのは

どんなに苦しかったんだろう

クリスティアンの気持ちがあまりにも痛くて

いまだに

ふとした時に思い出しては

涙が出てくる

 

冒頭で

少年たちが釣れたカサゴを気味悪がって

踏みつけたように

人には 何か違うと感じるものを

普通じゃないと、排除すべきだとする

感覚が備わっているのだろうか

何か違うという感覚は、

普通じゃないとは、

気味が悪いとは、

そういうのが 悪 だと定めるのは

どこからくるのだろう 

 

どうしていろいろなことが分かっているのだろう

どうして分かってると思っているのだろう

 

小さな泣き声は

人間よりもずっと大きくて

のびのびと恐れるものなく

自由に広がるアイスランドの景色が

飲み込んでかき消しているのか

包み込んでいるのか

それとも

微かに悲しくこだましてるのか

分からないけど

 

結局その声はどこにも行き場がない

それでも自然は

唯一打ち明けられるものなのだろうか

 

美しいよりずっと

悲しくて忘れられない映画だった

 

  

 

この作品がきっかけで

アイスランドを空想した本を作りました。

 

アイスランドへは行ったことないから、

妄想でしかないんだけど…

描いたのは、アイスランドの田舎の空想スケッチと、クリスティアンとソールのお話、

創作のお話二つ。

これまでも映画をみて、続きやサイドストーリーみたいなのを描きたいと思ったことは時々あって

「聖者の眠る街」「ダンケルク」とかは構想を練ったりしてたけど

よし描こう!と思って無我夢中で描き終えることができたのは「ハートストーン」が初めてでした。

多分、悲しくていてもたってもいられなかったんだと思う。 

ストーリーは何にも思いつかなかったんだけど

言い表せない、自分の意味不明な苦しさを紙に溢さないとどうにもならなかった。

 

うまくいかなくても

 

一つずつかたちにするのはなんだかとても

大切なことだって思った。

 

 

 

 

 

 

 

追記

部屋に戻って

映画を観たその日の夜はずっと

Sigur RosとJonsiのソロアルバムを聞いてた。

「Go Do」という曲が始まったとき

この歌は歓喜して、力強くて

なんだってできる

そう言ってるのに、ソールは

クリスティアン

どこへも行けなかったんだって思ったら

何回も泣けてきた

それで

ヨンシーがなにかのインタビューで

自分の生い立ちを話していたのを思い出して

この映画と少しシンクロしていて

彼がこの歌をうたうまでの道のりを

考えて眠れなかった

 

 

追追記(ごめんなさい💦)

去年の夏ごろ

「ハートストーンという映画、観ましたか?

お話ししたいと思って。」

とメッセージを下さった方がいました。

 

先に観た知り合いから「絶対落ち込むよ」

と言われたのを気にして迷っていたので

その時には公開がちょうど終わってしまっていて

後悔したのを覚えています。

 

あの日、僕は家族揃ってレンタルしたのを観ました。

観終わって

心から、あの時 映画館で、

ひとりきりで観たかった。

メッセージを送って下さった方と

感じた事を 話したかったと 本当に後悔した。

 

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(パンフレットはシナリオ再録やアイスランドの豆知識もありました。)